この記事は折角会社を起こすのだからすべて自分でしていきたい人向けの内容です。
今回は実務に即した定款認証のやり方を紹介していきます。
定款認証は株式会社の設立に必須で行政書士の業務で非常に重要な仕事です。
もちろん会社の代表となるあなたも、定款認証をすることができます。
初めての場合かなり手間がかかります、正直行政書士にお願いしてもそこまで多くの費用がかかるものでもありません。
それでも、自分で定款認証をしよう、体験してみたいと思っている人向けです。
さて、定款認証の準備を始めていきましょう。
定款認証とは
定款認証とは、公証役場で定款の存在を確認してもらう作業のことを言います。
出資者の印鑑を押した定款を公証役場で提出し、出資者が後から、定款を見ていないから出資を取りやめる等、トラブルの発生を抑止するためです。
出資者が複数人いる場合は全員の印鑑を押している必要があります。
電子定款認証とは
電子認証は法務省の登記・供託オンライン申請システムを利用して定款の認証についてオンライン申請するものです。
紙の定款と同じく公証人役場に行く必要がありますが、電子認証の場合は、書面による定款の認証に比べ、印紙代4万円がかかりません。
しかし、必要な機器を揃えるのに印紙と同じくらいの費用がかかるので、頻繁に電子署名をする人を除いて紙の定款で十分だと言えます。
行政書士は電子署名できる機器をそろえているので、安く電子定款を請け負うことができます。
場合によっては、自分で定款認証をするより安くできることがあります。
定款認証を受けるには(必要書類の準備)
定款認証を受けるには、まず必要書類を一通りそろえるところからはじめます。
定款
法人を設立する際に必ず必要になります。
法人の名称、業務内容や本店の所在地、株式の発行の上限など法人の運営の上でのルールを定めた物です。
定款認証のときに作成した定款を「原始定款」と言います。
実質的支配者となるべき者の申告書
2018年11月30日から新しく添付書類に加わりました。
これは、法人の出資者を明らかにすることにより、法人の透明性を高め暴力団やテロリストによる法人格の入手を抑止することが目的です。
定款には記載されない、国籍や生年月日等を記入して提出する必要があります。
発起人の印鑑登録証明書
定款・委任状・実質的支配者となるべき者の申告書に押印する発起人の印鑑の印鑑登録証明書が必要です。
簡単に言うと実印の印鑑証明書。
発行してから3か月以内の物を提出しなければなりません。
意外と短いと思われますが、印鑑は変更することが容易であり、古い物だと信頼性が薄れるためです。
そのため、定款認証では発行してから3カ月以内のものを提出する必要があります。
※原本還付をすることによって返却してもらえます。
委任状
もし、定款認証を行政書士や他の物に任せる場合委任状が必要になります。
委任状にも印鑑証明書と同じ印鑑を押印しましょう。
ある程度書類が集まったら公証役場に電話して定款認証をしたい旨を伝えましょう。
どこの公証役場にお願いすればいいの?
公証役場は各都道府県に数ヶ所あります。
どこの公証役場でも良いわけではありません。
会社を設立する都道府県と同一都道府県の公証役場にお願いすることになります。
もし、大阪府内で法人を設立するなら、難波、岸和田や高槻でも問題ありません。
一般的に会社の最寄りの公証役場を選びます。
定款に会社の住所を必ず記入しているので間違って認証することはまずありません。
参考
公証役場に電話
初めて公証役場に連絡した旨を伝え、定款認証をお願いしましょう。
公証人が複数人いる場合はその日の担当を紹介してくれます。
定款案とその他の書類がある程度揃っていることを伝えてどうするか確認しましょう。
多くの場合は、FAXやメールで定款案を送って内容を確認してもらえます。
その際に疑問点があれば聞いておきましょう。
定款の回答
定款を公証人に送信すると、早ければ半日、遅ければ2日程で回答の電話がきます。
指示を受けた所を修正して定款及び関係書類は完成です。
続いて、認証日の予約をしましょう。
平日の9時~16時頃まで受け付けていることがほとんどです。
公証人が出張で出かけていると認証ができないので必ず約束をしましょう。
この時に、定款が何部必要か聞かれます。
少なくとも、会社保管用と、登記用に2通必要になります。
※会社の通帳を作るときや許認可等は定款のコピーでOKです。
定款の認証日
必要な書類を持って公証役場へ向かいます。
認証料や印鑑、印鑑証明書も忘れずに持っていきます。
持ち物チェックリスト
定款(紙で認証する場合は2~3部必要)
実質的支配者となるべき者の申告書
発起人の印鑑証明書(発起人全員)
認証料(55,000円弱)
印紙(4万円)
個人実印(発起人全員)
CD-R
身分証明書(念のため)
代理人の場合
委任状
代理人の身分証明書
公証役場にて
すべての書類を提出し、最終チェックを受ければ終了です。
事前に書類は確認してもらっているので修正もありません。
万が一修正があったときのため、定款には捨印を押しておきましょう。
30分もかからず定款が仕上がるので、必要部数を受けとって定款認証は完了です。
よくある質問
Q 別の都道府県で定款認証を受けた場合どうなるの
A 無効になります。もう一度、認証料や印紙代がかかるので、間違わないようにしましょう。
Q 外国人が発起人の場合でも、印鑑証明書が必要なの?
A 外国人が発起人の場合には、印鑑証明書の代わりにサイン証明書を用意します。
発起人の国の公証役場でサイン証明書を発行してもらいましょう。
外国語で書かれているので、日本語に翻訳したものも同時に提出します。
サイン証明書は印鑑証明書と違い、3カ月の有効期限はありません。数年前の物を使用しても問題ありません。
Q 提出した書類を返してほしい
A 印鑑証明書及びサイン証明書は返却してくれる公証役場がほとんどです。
その場合、公証役場で原本を証明する手続があるので、事前に公証役場に相談しておきましょう。
※過去に1ヶ所だけ、原本還付ができない公証役場がありました。
まとめ
定款認証の方法は以上です。
初めに言ったと通り、結構手間と暇がかかります。
しかし、これから会社を運営していく上で色々チャレンジしていきたいと思うなら、自分で定款認証することをおすすめします。
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