合格のカギは民法の学習方法

科目ごとに押さえるべき点

行政書士の勉強でかなり多くのボリュームを占めている科目が民法です。

ただ過去問やテキストを読むだけではなかなか頭に入らないですよね。

「自分は頭が悪いんだ・・」

「何度読んでも理解できない・・・」

イライラするし、理解できなければ非常につらい。

やみくもに勉強しても条文の多さに圧倒され、モチベーションがガンガン削られていきます。

そこで今回はちょっと思考を変えるだけで民法が覚えやすくなるコツを伝授します。

ひーちゃん
ひーちゃん

民法の攻略が行政書士試験の肝になります

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民法が覚えられない理由

民法が覚えられない理由はさまざまありますが、大きく分けてこの2つ。

1 学習範囲がとにかく多い
2 似ている単元が多く要件を取り違える

 

1 学習範囲がとにかく多い

民法の条文の数は約1000条。

しかも、それぞれに2項3項と続き、但し書き(例外規定)も非常に多く、覚える箇所が非常に多い。

行政手続法、不服審査法、事件訴訟法を合わせて200条程度なので約5倍ほど。

一巡勉強するだけでも時間がかかり、回数をこなしにくい科目でもあります。

 

2 似ている単元が多く要件を取り違える

民法には非常に似ているけど違う項目がいくつかあります。

「あれ?覚えてたものと違う!」とか「これどっちの要件だっけ?」と取り違えるケースが多々あります。

例えば、「留置権と同時履行の抗弁権」、「使用貸借、消費貸借と賃貸借」、「債権者代位と詐害行為取消権」など等。

これらを的確に区別していく必要があります。

例題
(留置権OR同時履行の抗弁権)が成立した後、目的物の譲受人に対して権利主張することができる。解答
留置権の場合は、譲受人に対して権利を主張できるのに対して、同時履行の抗弁権は譲受人に対して主張することができません。

近年比較問題が出る傾向にあるので、混同しやすい単元は注意して覚える必要があります。

 

民法の問題を解くポイント

物権か債権かとどの問題を解いているか意識する

問題を解いているときに、どの分野を勉強しているか意識せず勉強していませんか?
実は、物権なのか債権なのかを意識して勉強することによって覚えやすさが断然違います。

上記の留置権と同時履行の抗弁権はそれぞれ物権と債権に分類されます。

物権の特徴

物を直接支配する権利
誰にでも主張することができる
排他性がある

債権の特徴

契約の相手方に請求をする権利
基本的に契約が必要で、債務者に対してしか請求できない
排他性がない

これを踏まえて先ほどの問題を確認すると、

「留置権(物権)は誰にでも主張することができる」ので目的物の譲受人にも対抗できる。

「同時履行の抗弁権(債権)は債務者にしか請求できない」ので目的物の譲受人にも対抗できない。

つまり、物権か債権かを意識することで、結果が自然と出てきます。

これをベースに例外があればそれを肉付けして覚えていきましょう。

排他性で考える

例えば

物権の場合
一つの不動産に複数の所有権を主張するものが現れた場合は先に登記を持ったほうが認められます。
一つの物の所有権を複数で持つことができません。これを排他性といいます。

債権の場合

一つの不動産をAに売却した後、Bにも売却した場合(二十売買)、2人とも不動産に対する請求権を有します。
つまり、先に売却したAの債権(不動産を引き渡してもらう権利)があるから、Bの債権は無効とはなりません。
債権には排他性(他の権利を無効にする権利)がありません。
この場合、先に登記(所有権)を得たほうが物権の排他性により権利が守られます(負けたほうは売主に債務不履行による損害賠償)。

債権の場合、ベースとなる考え方は第三者と対抗するためには物権(所有権など)の取得が必要。

 

どちらが保護されるべきか見極める

物権と債権の特徴と排他性を考えると次の「どちらが保護されるかを見極める」ときにも有効になります。

1 保護される方はどちらか

民法は必ずどちらの権利が優先されるか・保護されるのかが明確に定められています。

ふわっとした内容でお茶を濁すことはありません。

その結論は、一般的な国民の感覚に沿うもの(妥当性がある)もの。

簡単に言うと、「常識的に考えて保護される人を保護する」という内容が定められています。

そこで民法で覚えるポイントは、「二者間以上で争うがある場合、常識的に考えて誰が保護されるべきなのか!」というイメージをしっかりもつことが重要です。

ただ、常識といっても人それぞれ。まったく違うとは言いませんが、絶対に同じものではないはずです。

細かい要件は後から覚えていきましょう。

例題
①Aの代理人Bが、Aのためにすることを示さないで、CとCの所有する不動産を購入する契約を締結した。②このとき、BがAのために当該契約をすることを契約当時にCが知っていたときは、AはCの不動産の所有権を取得することができるでしょうか。※解答:AはCの不動産の所有権を取得することができます。本人A↓代理権付与

代理人B   ー顕名のない契約ー  相手方C

問題を読み解いていきます。

ー私の場合の考え方ー

①の文章

代理人BはAのためにすることを秘密にCと契約を結びます。

この場合、契約に問題が起きた時の責任は勝手に契約をしたBにあると考えます。

つまり時点までの情報ではCは保護される人物。

 

②の追加情報

追加情報で、CがAのためにする契約と知っていた場合。

CはAのためにする契約と知っていたので保護する必要はないのではないか。

BとCはともに保護する対象ではない。

Aに所有権を取得することができる。

 

私の場合は問題の条文・解答をしらなくても常識的に考えて「相手方Cを保護する必要がない」という判断をします。

その後、解答を読んで正解・納得できれば、この問題は「違和感なく」すんなり覚えることができるはずです。

この問題は、テストで出題されても正解の肢を選ぶことができるでしょう。

 

逆に自分の常識と違う問題(例外)は注意して覚える必要があります。

例えば、

「条文や判例がわからないけど、どちらかと言えばBの主張が通るハズ!!」

「あれ?解答見れば保護されるのはAの方だった!!」

こんな問題は、テストで2択で迷った時に間違った解答をしてしまいます。

先入観なしに読んで保護される対象を間違った、常識と違った、なんて問題は、何度も復習して覚える必要があります。

 

 

一覚えて三にする

同じものをひとくくりに、例外のみ覚える
(債権の譲渡性)
第四百六十六条 債権は、譲り渡すことができる。ただし、その性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

(相殺の要件等)
第五百五条 二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2 前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。

 

この第二項の規定は「債権の譲渡禁止特約」と「相殺禁止特約」についての条文です。
どちらの条文も善意の第三者に対抗することができないと規定されています。
→(譲渡OR相殺禁止)特約があっても善意の第三者に対抗することができない。

覚えるべきポイントは特約があっても善意の第三者に対抗することができない。

例外が出てくればその都度覚えていきます。

要件の個数を覚える

要件の個数を覚えるのも効果的です。

例えば債権者代位の成立要件には4つの要素があります(3つとしている教科書もあります)。

① 債務者が無資力であること。
② 一身専属権でないこと。
③ 債務者が自ら権利を行使していないこと。
④ 債権の弁済期が到来していること。

まずは、債権者代位の要件が4つあることを覚えましょう。

大きな枠組みから覚えていきます。

その後、
債権者についての要件が「無資力」と「権利行使していないこと」の2つ。
債権についての要件が「一身専属ではない」と「弁済期到来」の2つ。
債権者に対する要件が2つ、債権に対する要件が2つを暗唱できるように覚えていきましょう。

 

まとめ

行政書士試験において民法は外せない科目です。

択一と記述両方の対策が必要になってきます。

勉強を始めた時は、簡単に要件をチェックしつつ、どちらが保護されてるかを明確に覚えていきましょう。

ある程度学習が進んだら、要件などを細かく覚えて記述対策に移行です。

この民法が合格への一番のカギです。

 

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