行政書士試験に六法は必要か

六法は必要か 合格に向けてのポイント

行政書士試験は法律科目の出題がほとんどです。
色々なサイトに「行政書士試験におススメの六法はこちら」とか「初学者向け条文の読み方」などの本がおススメされています。

講師によっても、判例六法、ポケット六法等と紹介しています。

私も受験の際にポケット六法を購入しました。

しかし、テストが終わるまで一度か二度しか開くことはありませんでした。

質問です。本当に行政書士試験に六法は必要でしょうか?

今回は、行政書士試験の勉強において六法が必要かということを見ていきましょう。

私が買った六法

私が受験するときに買った六法はこちらです。

コンパクト六法

岩波書店のポケット六法。

※現在岩波書店は六法の刊行をしていません。

ポケットとありますが800gくらいで、結構重たく持ち運びには向いていません。

週刊少年ジャンプより少し重たいくらいです。

内容は行政書士に必要な、憲法、民法、、行政手続法、行政不服審査法(平成26法68)行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法、会社法、個人情報保護法と必要なところがすべて網羅されています。

試験勉強で条文を読みたいときにこの一冊があったら困らないでしょう。

ただ、試験勉強のために六法を開くことは一度か二度しかありませんでした。

正直、行政書士になった後にお客さんに説明するときに事務所で使用する回数の方が多かったです。

六法は試験勉強になるのか

法律を読むことは非常に試験勉強になります。
民法も行政法も一部判例を除き、法律に書いているかどうかを問題として問われます。

すべての条文を暗記することができればかなりの高得点をとることができるでしょう。

実際にすべての条文を覚えることは困難なので、条文数の少なく内容も難しくない憲法や行政三法(手続、不服、事件)の4つは効率が良いと思います。

行政三法(行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法)に関していえば、条文がそのまま記述の答案になることもあるのでしっかりとした学習が必要なところ。
※憲法はユーチューブの読み上げを聞いていました。

条文を暗記することは点数を上げることに非常に効果的です。

しかし、私はポケット六法を二回ほどしか開けることはありませんでした。

結論を言えば、六法がなくても十分に合格することができます。
むしろ、六法を読みこむことによって合格から離れてしまう危険もあります。

その理由は、次の3点です。

六法に目を通している時間がない
テキストが優秀
ウィキペディアが面白い

合格するために六法は必要ない

六法に目を通している時間はない

先程、行政書士試験が終わるまで六法を一度か二度しか開かなかったとお話ししました。
この一番の原因は六法を読む時間がなかったことにあります。

行政書士試験の範囲は非常に膨大で問題集一冊を回すのに1日~2日、その問題集が10冊程。

それだけでも半月かかり、テキストの読み込みを含めると1ヶ月かかります。

その後また問題集の復習に時間を当てていくことになります。

六法に目を通している時間がありませんでした。

テキストが優秀

行政書士試験のテキストが非常に優秀。
試験に出てくる条文があるのはもちろん、条文の詳しい解説まで載っています。

すべての条文を載せてくれているわけではないが、出題されにくところを大幅にカットして覚えやすくまとめてくれてます。

例えば、六法を確認するとこう書いています。
債権者代位権(423条)
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

これだけ読んで書いている内容はわかるでしょうか。初めて法律を勉強する人は「一身に専属する権利?」「保存行為??」となるでしょう。

テキストの場合、条文のあとにわかりやすい解説が入ります。

条文 債権者代位権(423条)
債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。

要件
①債務者が無資力である
②債務者の一身に専属する権利ではない
③債権の期限が到来している
④債務者が権利行使をする前

要件① 債務者が無資力について
債権者は債務者が弁済する能力がない状態、つまり無資力のときに~~

要件② 債務者の一身に専属する権利ではない
債務者が扶養を受ける権利等の特定の人に対する債権で他の人に移らない性質の~~

さらに図解までしてくれていたら、断然テキストの方が頭に残りますね。

さらに六法をみるよりも出題の可能性の高いテキストに掲載されている条文を読み込む方が非常に効率的。

すべて網羅的に勉強するぞ!という方は六法を読み込むのもアリだとは思います(現実的ではありませんが)。

ウィキペディアが面白い

条文だけ読んでも意味がわからないときはウィキペディアを見てみましょう。

例えば問題集にはこんな感じで書かれていると思います。
憲法22条の外国に移住する自由についての問題です。

問題 次の記述は、最高裁判所の判例に照らし妥当といえるか。

外国旅行の自由は、公共の福祉のためになされる合理的な制限に服する。

⇒解答 ○
「憲法22条2項の『外国に移住する自由』には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。」(帆足計事件:最大判昭和33年9月10日)(平成3年度)

憲法によって保護されている『外国へ一時旅行する自由』と、旅券法によって定められている「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」という制約との衝突が論点です。
なかなか具体的なことイメージしにくいですよね。テキストを見るともう少し深く載っているのですが、理解には程遠かった記憶があります。

ウィキペディアで検索してみると
「帆足計事件(ほあしけいじけん)とは、国際会議に出席する目的で、日本国旅券の発給を申請した原告が、外務大臣(吉田茂)から申請を拒否されて、そのために国際会議に出席できなかったことに対しての損害賠償を求めた事件。」

「「海外渡航の自由」といっても、無制限に許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきであり、旅券法による制限も、合理的な制限の範囲内である。
当時は、冷戦という国際情勢であったため、資本主義国である日本から社会主義国の中心国であるソ連へ渡航するということは、「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」として旅券の発給を拒否した外務大臣の処分には合理性がある。」

結構わかりやすく書いていませんか。
問題と解答には書いていなかった「冷戦時代のソ連への渡航」や「その時の外務大臣が吉田茂」イメージがわきやすいですね。

注意点
一般人の方が書いているので誤情報が記載されている危険があります。判例のイメージを付けるための参考程度にしておきましょう。

まとめ

実際六法は行政書士になってから使ってましたので全くの無駄ではありません。

最初は購入せず、勉強していく上で必要だと感じたら買う!くらいでよいと思います。

合格者のインタビュー
「スグにまねできる」合格者の勉強方法とは?
【フォーサイトHPより】

コメント

タイトルとURLをコピーしました