行政法の勉強方法

科目ごとに押さえるべき点

行政書士試験に絶対欠かせない科目が行政法です。

合格のために一番重要な科目だと断言します。

択一、記述、多肢選択と配点でいうと112点。全体の1/3を越え。

問題点はただ一つ。条文ベースや単語の意味ばっかりで覚えにくいこと。

今回は、行政法が覚えやすくなるようなポイントを紹介していきたいと思います。

その他の科目の勉強方法はこちら

合格のカギは民法の学習方法

憲法の勉強方法

一般知識の勉強方法

記述式の勉強方法

行政法の勉強のポイント

行政が縛られる法律

大前提に行政法は一般私人を拘束する法律ではありません。行政を縛る法律です。

国や行政という巨大な組織が好き勝手にしないように、行政手続きや、不服申し立て、訴訟と様々な法律で国民を守るための法律です。

国民VS国民がベースの民法は、できるだけ平等に作られていますが、行政VS国民を定めている行政法は、国民が有利に作られています。

行政3法は条文ベース

行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法の基本は条文です。

問題も条文ベースで出題されることがほとんど。条文を覚えればかなりの問題を解くことができます。

覚えるだけなら簡単と思いますが、実際は似て非なるものの連続。

「行政は○○しなければならない」「行政は○○することに努める」等の細かな論点を問われます。ほんんんっっとうに小さな間違い探しの連続です。正解の肢まで不安になるくらい。

記述も条文ベースで出題されることが多いので、頻出条文は丸暗記が必要です。

過去問が合格のカギ

択一問題は過去問が有効です。

先ほどの小さな間違い探しは過去に出題されたものがほとんど。テキストで流れをつかんだらひたすら過去問の勉強が必要です。

そのうち勉強を続けたら「行政手続法で標準処理期間と来た瞬間に「定めるのは努力義務、定めたら公表が義務」」と間違いポイントがすぐにわかるようになります。

大きく分けて6つの科目

行政法の中身は行政法の一般的な法理論行政手続法行政不服審査法行政事件訴訟法国家賠償・損失補償地方自治法が出題の中心とされています。択一ではおおよそ3問づつの出題でバランスよく勉強していく必要があります。

行政法の一般的な法理論は特に特定の法律の勉強ではなく、行政法の共通して知っておくべきルールから出題されます。

行政法の一般的な法理論

一般的な法理論は法律がなく条文ではありません。

「許可」「認可」等の言葉の意味、組織関係、その他の行政法等々非常に論点が広範囲にわたる科目です。

主なポイントは言葉の意味をしっかり理解すること。一般的な法理論の問題を解くために有効ですし、そのほかの法律を読むときにイメージがわきやすくなります。

行政3法について

行政法の一番の要が行政手続法、不服審査法、事件訴訟法の3法です。

この3法が条文数が少なく、出題される個所もほぼ例年通り、記述試験にも出やすいところです。

一番勉強すれば点数が伸びやすい科目。

まずは、行政手続法、不服審査法、事件訴訟法の流れを知りましょう。

行政手続法

まずは行政手続法。申請をだしたり、許可不許可について、いったん出した許可を取り消す場合などを定めています。

ポイントは、法律の名前にあるように手続きについて規定しています。

 

例えば、国が国民の健康増進を考え、スパイスたくさん入っているカレーを食べるような法律「カレーによる健康増進法」を作り、カレー屋の乱立を防ぐためにカレーを販売することを許可制にすることを決めました。

なんじゃそりゃと思うでしょうが、まぁまぁまぁ、一読ください。イメージが大切。

では、明日からカレーを販売する場合は申請書を出す必要があります。

申請書を役所が受理してくれなかったらどうでしょう?申請をしたけど数か月放置されていたら?不許可になったけど理由を教えてくれない等の人によって取り扱いが異なるなどの役所独自ルールが横行していたら、公平性の確保や透明性が維持されません。

そこで、申請に対する許可不許可の審査基準(要件)、応答義務や不利益処分などをあらかじめ定めたり公表したりすることを要求する法律が行政手続法です。

つまり、「カレーによる健康増進法」は行政手続法の適用を受け、許認可の審査の内容をあらかじめ定めることや不許可になった時の取り扱い、許認可を取り消すときの方法などができるかぎり具体的で明文化しています。

続いて行政不服審査法です。

行政不服審査法

行政不服審査法は、行政手続法に定めた許認可などの要件を満たしているのに不許可になった、申請手続きをしているにの応答が全然ない等の行政側の問題について不服を言える法律です。

 

カレー屋を営業しようと申請書を区役所に出したAさん。しかしなかなか許可が下りません。なんど区役所に行っても処理中、もうしばらく待ってくださいのみ。。とうとうAさんは行政不服審査法によって役所の不作為(申請にたいして何ら処分をすべきにもかかわらず、これをしないこと。)に対して、行政不服審査法に基づく「不作為についての審査請求」をすることにしました。

このように、行政の不作為や決定処分(基準を満たしているのに不許可になった)などに不服を申し立てるときの法律が定められています。

このように不作為や基準を満たしているのに不許可になった場合は、その行政庁若しくは上級行政庁に再度確認してもらうことができます。この手続きを規定している法律が行政不服審査法。行政に対して不服を言い審査してもらう法律です。

行政事件訴訟法

行政事件訴訟法は、行政不服審査法でも納得のいかなかった国民が裁判所に訴訟を起こすためのルールを定めた法律です。どちらかといえば、国民目線で行政に対して訴訟を起こすことをイメージするとわかりやすいです。

 

先ほどの不作為を受けているAさん。行政不服審査法は不作為した行政庁に対して行いましたが、不作為を認めず、未だ許認可がおりません。その場合、Aさんは当該、不作為について裁判所に訴えることができます。

裁判所によって不作為が認められれば、行政庁に許可か不許可を出すように判決が出ます(不許可の可能性もあります)。これによって、Aさんは無事カレー屋をオープンすることができました。

行政不服審査法はあくまでも、処分や不作為を行った行政庁やその上の行政庁に対して行うものです。行政不服審査法によってルールが定められているかもしれませんが、不作為を行ったところに文句を言っているだけ、審査請求しても適切に処理してくれる保証がありません。

そこで、行政不服審査法でも納得がいかなければ裁判を起こすことができます。

この裁判に持っていくための要件や手続き方法などを定めたものが行政事件訴訟法です。

択一では判例も出るし、記述では事例問題として出題されます。上記の例では「Aは○○庁に対して不作為の違法確認訴訟を起こす」等です。一見難しそうですが、問題を理解すれば主語、相手方、訴訟内容と分かれているので部分点が取りやすくテストの問題としては易しめです。

これが行政3法の流れです。

 

勉強するときに

手続法⇒申請についてのルール

不服審査法⇒申請した後のルール

事件訴訟法⇒裁判を起こすルール

を意識して勉強すると覚えやすくなります。

 

国家賠償法・損失補償

判例と条文の両方から出題されます。問題数は多くありませんが、広く浅く知っておく必要がある科目です。

この2つは次の点で非常によく似ています。

国家賠償法と損失補償は公権力を行使する側から金銭などを受け取る法律です。

 

損失補償

最初に覚えるのは損失補償を覚えたほうがよくわかります。

損失補償は公権力の行使が適法だった場合、発生した損害を補償してくれるもの。

例えば道路を作りたいから土地を収用する場合などがこれに当たります。

これは土地収用法に定められているので適法です。このときに支払われるお金のことを損失補償と呼びます。

※損失補償ではなく行政と個人との契約によって土地の売買が行われることも多々あります。

むしろ売買の方が多いかも。

 

国家賠償法

国家賠償法は違法な公権力の行使によって損害を受けた場合に、損害を受けたものに償うように規定されています。

損失補償との違いは、公権力の行使が違法である点。例えば公務員が違法な公権力の行使をした場合、その公務員個人に賠償責任があるのではなく、国や地方公共団体がその責任を負います。国や公共団体が責任を持つことによって、損害を受けたものが補償を受けやすくなっています。

 

条文を丸暗記する必要はありませんが、要件や内容、判例とまんべんなく覚えることが必要です。

行政法の中では少し重要度は低めです。

地方自治法

都道府県や市町村を規定した法律です。

3問程度の出題があり、ボリュームからみたら配点は低め。ただ、それほど複雑な問題は出ないので得意不得意がはっきり分かれるところです。憲法の「統治」と被る部分もあるので違いをしっかり意識して覚えるといいです。

まとめ

長々と書きましたが、行政法は本当に試験勉強の一番の肝です。

特に、行政手続法、不服審査法、事件訴訟法は記述の出題の可能性が高いです。

一番辛く時間をかけて、何度も何度も復習して、覚えて、忘れて、覚えてを繰り返します。

全員が通る道です。他の科目よりも優先的に学習していきましょう。

 

合格のカギは民法の学習方法

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