記述式の勉強方法

科目ごとに押さえるべき点

行政書士試験で必ず点数をとるべき科目が記述式です。

しかし、私の本試験での点数は30点、ぎりぎり合格ラインです。正直、記述は難しい論点です。

そこで、私が実際に勉強して良かった点や行った勉強方法をまとめています。

 

記述式の勉強は択一式で伸びた点数のさらに後押しをし、合格する人は必ず対策を練ってしっかり解答を出しています。記述問題を解答できるかが確実に合否に影響します。それほど大事なポイントです。

他の科目の勉強法はこちら

合格のカギは民法の学習方法

憲法の勉強方法

行政法の勉強方法

一般知識の勉強方法

記述は点数を取るべきところ

記述問題は合計3問で60点です。全体(300点)の内3問で20%を占める大きなポイントです。

難易度は上がってきており、満点は難しいですが30点以上を目安に勉強を進める必要があります。

また、ある程度択一問題を解いた後に記述を勉強するとより択一の知識が深まり全体のレベルアップにつながります。

夏頃からじわじわ勉強を始めて、9月~10月初め頃から本格的な勉強に移ると良いでしょう。

行政書士の記述式は難しい

近年の行政書士試験の記述式の難易度は高まってきています。

範囲も膨大で問われる内容も条文ベースだったり、事例問題だったり、複数の要件を答えさせる問題等様々。

正直満点の答案を作成しにくくなっています。

他の士業の出題形式と異なる

行政書士試験の記述は40文字程度で記述せよというものです。

これがまた曲者で、45文字をオーバーしてしまったり、20文字くらいしか書けなかったりと規定数に近く解答すること自体が大変です。

これは他の記述式があるほかの試験とは全く違います。

例えば司法書士試験の場合、基本的に文字数の制限はありません。登記事由や添付書類を漏れ間違いなく記述できるかを問われます。

勉強方法について

記述式で問われるポイントはほとんどが「条文」「判例」です。それも記述のみに出題される特別な論点ではなく択一や多肢選択を解くために覚えた知識と同じです。

また、条文や判例が出題されるので作文能力は必要ありません。

しかし、いざ書こうとすると「どう書けばいいかわからない」「書いたけど論点がずれている」「書きたいことがまとまらない」等なかなか点数のでる答案を作ることができません。

この後の勉強方法を踏まえて何度も書く練習をする必要があります。

共通事項

記述式はかなり文章が長く、聞かれている論点も複雑なことが多いです。

ポイントは、①何を聞かれているか?②図解をするの二つです。

何を聞かれているのか?を見極める

行政書士の試験問題は複雑で長文が多くさらに参考条文として初めて見る法律が書かれているという無理難題です。

しかも、答えを45文字以内に収めなければいけないという条件付き。

簡潔に答えるためには解答にあたって何を聞かれているのかを見極める必要があります。

まず、この問題の解答パターンを考えてみましょう。

 

H30年度本試験

この問題は下に線が書いているところが解答する箇所です。

「誰に対し、どのような催告をし、どのような結果になるのか?」

解答を見てみましょう。

全部で44文字ぎりぎりの解答です。

省略をせず全文を記述すると74文字の長文になります。この中から解答に必要な赤文字の部分を抜き出して記述します。

Aは、C に 対 し 、 1 か月以上の期間を定めて本 件 契 約 を 追 認 す る か
ど う か を 確 答 す べ き 旨 の 催 告 を し、その期間内に追 認 し な い 旨 の 確 答 を 得 る 必要があるか。

もう1問同じくH30年の本試験からです。

今回は下に線を引いていませんが、解答すべきところは先ほどと同様に聞かれている箇所を探します。

この問題は「いかなる被告に対し、どのような訴訟を提起すべきか。」が解答になります。

基本的に問題で問われている形式をそのまま流用することが合格答案への第一歩です。

書き方がわからなければ、そのまま問題文をなぞって書けば大きな間違いにはなりません。

民法の解き方

図解を書く

記述式は一ページに1題の長文です。読んでいるうちに話が行方不明になることや、書いていることがわかりにくいことが多々あります(国語のテストのようにきれいな日本語で出題されるとは限りません)。

・途上人物が3人以上なら関係図を書く

平成26年の本試験の問題です。

短い文章ですが、A、B、C、Xの四人の登場人物が出てきてちょっと複雑です。

この場合文章を読みながら図を書いていくことが重要。非常にわかりやすくなります。

汚くて申し訳ない(汗)

黒ボールペンのところが実際に問題を解くときに書いたものです。他人に見せるわけではないので自分で理解できる最低限のものを問題を読みながら書いていきましょう。

ポイントは「債権債務関係をはっきり、登記は必ず、第三者は善意悪意についても書く」です。

要件を問われる問題は線を引き消去法で

要件を問われている問題は、解答を読み解くのは難しいですが、解答自体は条文を覚えていれば簡単に取れる問題です。

ひっかけ要素も少ないので点数を伸ばすところです。

 

Aは、Bに対し、Cの代理人であると偽り、Bとの間でCを売主とする売買契約(以下、「本件契約」という。)を締結した。ところが、CはAの存在を知らなかったが、このたびBがA・B間で締結された本件契約に基づいてCに対して履行を求めてきたので、Cは、Bからその経緯を聞き、はじめてAの存在を知るに至った。他方、Bは、本件契約の締結時に、AをCの代理人であると信じ、また、そのように信じたことについて過失はなかった。Bは、本件契約を取り消さずに、本件契約に基づいて、Aに対して何らかの請求をしようと考えている。このような状況で、AがCの代理人であることを証明することができないときに、Bは、Aに対して、どのような要件の下で(どのようなことがなかったときにおいて)、どのような請求をすることができるか。「Bは、Aに対して、」に続けて、下線部について、40字程度で記述しなさい(「Bは、Aに対して、」は、40字程度の字数には入らない)。

解答
Aが行為能力を有しCの追認を得られなかったとき、履行又は損害賠償の請求をすることができる。(45字)
H25年 本試験

要件問題の場合は、問題文の要件に印をつけていきましょう。

そのあと空いたスペースに無権代理の成立要件を書いていきます。

(1) 代理人が行為能力を有すること。
(2) 本人からの追認がしていないこと。
(3) 相手方が取消権を行使していないこと。
(4) 相手方が無権代理につき善意無過失であること。
(5) 代理人が自己の代理権を証明することができないこと

(3)(4)(5)は問題文で出てきているので、解答は(1)(2)を中心に組み立てていきます。

要件問題は取りこぼしや問題文で既に出ているところを書いてしまうなどのミスが起きやすいので、できるだけ印をつけたりしていきましょう。

行政法の解き方

行政法は基本的に行政三法(手続法、不服審査法、事件訴訟法)からの出題が多いです(近年別論点からも出題されます)。

問われる内容は択一と同じ、例題の場合、どのような手続きや訴訟方法を行うか、語句をきちんと覚えているかを問われます。

平成27年度 本試験より

まず、先ほどのと同様に何を聞かれているか確認します。

「被告はどこかどのような主張が許され、この原則をなにと呼ぶか」を解答します。

この三カ所の穴埋めをする問題と考えれば難しくない問題です。

特に行政法の記述はこのような語句を問われる問題が非常に多く、どの手続きを使用するのか判断し、その内容を問われることがほとんどです。

これは行政三法以外の出題でも変わりありません。

平成26年 本試験より

この年の問題は「行政法の一般的な法理論」からの出題です。

問題も「地方自治法は何と呼び、設置はどの機関によりどのような形式で決定されるか、団体は何と呼ばれるか」を問う穴埋め形式です。

行政法はどれだけ語句を覚えられるか、当日に思い出せるかが勝負になります。

記述を勉強後に、択一を勉強するときに「この問題はここがキーワードになるなど」より記憶が深まるように学習していきましょう。

記述問題の注意点

文字数の制限に気を付ける

試験問題は「40字程度で記述しなさい」という問題がほとんどです(ここ数年で変則的な問題もでています)。

そこで気を付けておきたいのが解答の文字数が少ないパターンです。

書けることを全部書いたけど30文字しかない!

要件を一つ忘れているか、何か書かなければいけない論点があるはずですが、出てこない、わからない。

そんな時は最低でも35文字以上、解答欄を埋めましょう。

規定文字数より大幅に少ない場合は採点されない可能性があります。

問題文の繰り返しでも構わないので、ある程度文字数を記入しましょう。

 

書き出しと語尾に気を付ける

書き出しと語尾に気を付けなければならない問題もあります。

例えば「XはYに対して」から始まり、「を提起することができる。」で終わる、40文字程度で記述せよ。なお、「XはYに対して」及び「を提起することができる。」は文字数に入りません。

この場合、「」書きの部分を外して40文字程度の解答を作る必要があります。

さらに、「を提起することができる。」で終わることが指定されているので、記述の文末で「。(句点)」を入れてはいけません。減点の対象となる可能性が高いです。

書き出しと語尾が指定されている場合はより注意して解答を埋めていきましょう。

部分点の稼ぎかた

問題がわからなくても部分点を稼ぐコツがあります。

先ほどの平成26年の解答例です。

「地方自治法は何と呼び、設置はどの機関によりどのような形式で決定されるか、団体は何と呼ばれるか」を問う穴埋め形式です。

 

例えば「公の施設」「議会」「条例」と単語がわかって最後の団体名がわからない状態だとします。

その場合私はこのように書きます。

「公の施設と呼び、設置などは議会により条例により決定され、施設を管理する団体と呼ばれる。(43字)」

 

この場合、最後の団体の部分の点数はもらえませんが、前半の3つの論点で部分点を狙えます。

一部がわからなくても論点を論じないのではなく、問題の繰り返しやいろんな言いまわしで記述する方が良いです。

「議会」が出てこないなら「行政」と置き換えたり、点数は出ないかもしれませんが、解答としてのバランスが良くなります。先ほどの文字数が少なくなるという問題点もカバーできます。

まとめ

行政書士の記述式は、完璧に解くと非常に難易度が高いですが、30点以上を合格ラインだと思えばそれほどハードルが高いわけじゃありません。

是非、自分が解きやすいスタイルを身に着けて目標点までもっていきましょう。

 

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