行政書士試験って難しいって聞くけどどのくらい難しいの?
これから行政書士試験を受けようと思ったときに一番気になる点ですね。
独立開業できる「士業」の中では簡単というイメージがあるようですが、実際のところはどうでしょうか。
今回は行政書士試験の概要や合格率から勉強方法まで確認してきましょう。
行政書士とは
行政書士は法律専門の国家資格で、官公庁への提出書類及び権利義務・事実証明に関する書類の作成、提出手続を行う専門職です。
これだけ聞くと難しそうな仕事ですが、お客さんの代わりに営業許可の申請書を書いたり、遺言を書くサポートをしたりと身近な存在です。
行政書士になるためには一年に一回の行政書士試験、つまり国家試験に合格しなければなりません。
行政書士について詳しい解説はこちらの記事を見てね
行政書士試験の概要
ここからは簡単に行政書士試験の概要を紹介します。
詳しくは試験を実施している一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページ(https://gyosei-shiken.or.jp/)も参考にしてみてください。
受験資格・日程
受験資格 | 年齢、学歴、国籍等に関係なく、どなたでも受験できます。 |
申込期間 | “毎年7月下旬から8月末程度【インターネット申込可】 |
試験日 | 11月第2日曜日 |
受験手数料 | 7,000円 |
注意して見ておきたいポイントは受験資格にあります。
行政書士試験には受験資格がなく、未成年年でも、大学に行ってなくても、外国人でも受験することができます。
試験会場に行くと、10代の人から80歳以上のおじいちゃん、外国人の方も結構受験されています。
試験までに勉強が間に合わなかった人もいたり、中には記念受験のなんて人も。
行政書士試験は誰でも受験できるために層が薄くなる傾向にあります
試験科目と内容等
「行政書士の業務に関し必要な法令等」(出題数46題)
憲法、行政法(行政法の一般的な法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法及び地方自治法を中心とする。)、民法、商法及び基礎法学の中からそれぞれ出題し、法令については、試験を実施する日の属する年度の4月1日現在施行されている法令に関して出題します。
「行政書士の業務に関連する一般知識等」(出題数14題)
政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解
試験の形式
試験の形式は法令科目46問、一般知識14問で構成されています。
出題形式は5肢択一54問、記述式3問、多肢選択式3問(穴埋め形式)で分かれています。
5肢択一はマークシート型で適切なものを一つ選択するもの、記述式は設問に対して40字程度で解答するものです。
多肢選択式は、裁判の判決理由の空欄があって、20個の語句欄から適切なものを1つ選ぶ形式です。一問につき4か所の空欄があります。
試験科目 | 出題形式 | 科目 | 問題数 | 配点 | 満点 | ||
法令等 (46問) |
択一式 (43問) |
5肢択一式 (40問) |
基礎法学 | 2問 | 各4点 | 8点 | 160点 |
憲法 | 5問 | 20点 | |||||
行政法 | 19問 | 76点 | |||||
民法 | 9問 | 36点 | |||||
商法・会社法 | 5問 | 20点 | |||||
多肢選択式 | 憲法 | 1問 | 各8点 | 8点 | 24点 | ||
行政法 | 2問 | 16点 | |||||
記述式(3問) | 行政法 | 1問 | 各20点 | 20点 | 60点 | ||
民法 | 2問 | 40点 | |||||
一般知識等 (14問) |
択一式 | 5肢択一式 | 政治・経済・社会 | 7~8問 | 各4点 | 44点 | 56点 |
情報通信 個人情報保護 |
3~4問 | ||||||
文章理解 | 3問 | 12点 | |||||
合 計 | 60問 | 300点 |
行政書士試験の合格基準
次の要件のいずれも満たしたせば合格です。
① 行政書士の業務に関し必要な法令等科目の得点が、満点の50パーセント以上である者
② 行政書士の業務に関連する一般知識等科目の得点が、満点の40パーセント以上である者
③ 試験全体の得点が、満点の60パーセント以上である者
合格基準に関して、試験問題の難易度を評価し、補正的措置を加える可能性があります。
過去の問題と比べて著しく試験の難易度が高かった場合に合格点を変動するという措置です。
平成26年度に一度だけ補正措置が実施され、合格基準が180点から166点に下げられました。
行政書士試験の合格率
行政書士試験の合格率は平成30年度が12.7%、平成29年度が15.7%、平成28年度が9.95%と12%前後を推移しています。
年度 | 申込者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
平成30年度 | 39105 | 4968 | 12.70% |
平成29年度 | 40449 | 6360 | 15.70% |
平成28年度 | 41053 | 4084 | 9.95% |
平成27年度 | 44366 | 5820 | 13.12% |
平成26年度 | 48869 | 4043 | 8.27% |
一見低い様にも見えますが、前述のように受験資格がないので記念受験も多く受験してます。
平成26年度は補正措置を実施したにも関わらず8%代と非常に問題が難しかったようです。
前述の通り、受験資格がないので十分な準備がないまま試験に臨む人も一定数います。
しっかり勉強すれば飛びぬけて難易度の高いということはありません。
しかし慢心しては危険です。行政書士試験は司法書士や弁護士試験を目指す人の通過点でもあり、合格者の何割かを占めています。
司法書士・予備試験(弁護士試験)の通過点
行政書士試験は司法書士や弁護士を目指す人の通過点でもあります。
この二つの資格試験の勉強範囲と行政書士試験の科目と共通点が多く、滑り止めのような感覚で受験される方もいます。
司法書士試験も予備試験も授業だけでも一年以上かかる超高難度試験で、半年程の勉強で受験する行政書士とは比べ物にならないくらいの精度で回答していきます。
しかし司法書士試験・予備試験の受験生は全体の数%程。
合格者のほとんどは行政書士に主眼を据え、勉強をしてきた人です
行政書士試験の難易度
偏差値
行政書士試験の難易度は難関私立大学くらい
試験偏差値は62前後と言われています。
その他の資格と比べると日商簿記2級が54、宅建士が57、税理士が75とされています。
簿記2級や宅建を取れた実力のある人は十分に狙える資格です。
宅建士と比べるとどちらが難しいですか
行政書士試験と宅建士はどちらの法律を勉強するテストですが、民法以外の出題される分野が違うので一概にどちらが難しいかはいえません。
勉強する範囲は行政書士の方が広く学習期間も長いことから行政書士の方が難しいとされています。
行政書士の民法と宅建士の民法では行政書士の方が広く深く学習しなければなりません。
宅建士の民法の中心は抵当権等の物権が多く過去問や深く勉強するところも物権中心になります。
行政書士の民法は、「総則」「物権」「債権」「親族相続」とすべての範囲を網羅したうえで記述の為細かに覚えていく必要があります。
合格率から見ると宅建試験の合格率は約15~17%。
行政書士試験の12%より少し高いくらいですね。
行政書士試験は5肢択一に対して、宅建は4肢択一で、問題数も行政書士試験の方が多い。
行政書士に合格する力が付くと宅建を一層取得しやすくなります。
簿記2級と比べるとどちらが難しいですか
簿記2級は行政書士試験と全く勉強する科目が違います。
難易度は、法律系の行政書士の方が難しいです。
合格率は過去10回の最高合格率は47.5%、最低合格率は12.7%%、平均合格率は23.1%です。
受験するタイミングによっては非常に基礎的な問題が出題され、合格率が高くなります。
近年記帳業務を行う行政書士が増えてきており、簿記の知識を生かすことができるため簿記と行政書士の両方を取得して開業する人もいます。
もちろん、行政書士は法人として登録する以外は個人事業主になるので自分の確定申告をする際に簿記の知っておくと非常に理解しやすくなります。
宅建や簿記2級からステップアップして行政書士を狙うと業務の幅がグッと広がります。
勉強は独学か通学か?
行政書士試験は合格率がそれほど高くありませんが、毎年受験生も多く市販の教科書も通信・通学の授業も質が高く様々な種類が揃っています。
試験の範囲が広く効率よく勉強することが必要になってきます。
独学で効率よく勉強し、専門学校に通わず合格する人がいる一方、仕事や家事等の忙しい時間の中でも通信講座をうまく活用して合格し、夢を掴んだ方もいます。
独学と通信講座のメリット・デメリットを確認しましょう。
独学のメリット・デメリット
【メリット】
・自分のペースに合わせて勉強時間できる
・教材費などの費用が安い
・受身の勉強ではない
【デメリット】
・継続して勉強するには強い意志が必要
・質問ができない・孤独
・教材選びに時間がかかる
・法改正に適切に対応できない
独学の大きなメリットは、自分のペースに合わせて勉強することができることでしょう。
試験では法律の改正があった内容の出題率が高いので、独学では法改正の情報を自分で収集する必要があります。
また、自分に合った教材を見つけたり、受験に最適なものを選ぶ際の判断が難しいというデメリットも。
行政書士になるという強い意思がないと勉強が続かないとも言えます。
通信教育のメリット・デメリット
【メリット】
・ミニテストや学習計画表がある
・合格に必要な教材が揃っている
・わからないところは講師に質問できる
・法改正にも適切に対応している
【デメリット】
・独学と比較して費用が掛かる
・テキストのみでCD・DVDなどがない
・教室や自習室がない
通院教育のメリットは、ミニテストや学習計画表があることです。
ミニテストの添削をしてくれたりどの時期にどのくらいまで学習を進める等の指標があり、独学と比べて学習を続けやすい体制が整っています。
また、教材選びに時間がかからないこと、法改正情報をまとめてくれることも大きな利点です。
独学よりも費用はかかるものの、その分のテストに向けてのメリットはとても大きく、効率よく試験合格を目指せるようになっています。
通信講座ではテキストだけでなくWEBやDVD等で学習したり講師にメールで質問できたりとサポート面が充実してるフォーサイトが一番おススメです。
フォーサイトのHPへ
独学と通信講座どちらにしても継続することが難しい
毎週決まった時間に通学する予備校と違い、独学と通信講座のどちらにしても継続して勉強するには強い意志が必要です。
しかも家で勉強するならテレビや動画、家族との会話や家事等、勉強を中断してしまう理由はいたるところにあります。
折角、勉強するための教材を買ったのに集中してできなければお金をどぶに捨てたようなものです。
勉強が続かない理由は簡単「勉強がつまらないから」。
この勉強がつまらないことを前提に勉強を続けていくには「達成感」や「ご褒美」を設定することが非常に効果的です。
私も受験生のときに週に一回のお酒をご褒美として勉強してました(課題ができなかったらお酒抜きです(笑))。
https://gyouseisyosi-shikaku.com/2019/10/07/勉強を続けるためのたった3つの方法【通信講座/
まとめ
行政書士は人気のある資格で、合格率から考えると飛びぬけて難易度の高い試験ではありません。
しっかり勉強すれば合格するにはそれほど難関ではないと思います。
しかしながら、合格率は12%代と確実な勉強と対策をしなければ合格することはできません。
市販の教材でも独学で合格することは可能ですが、1人で勉強続けることが不安な方やもっと効率よく試験勉強したいと思っている方は通信講座の利用を検討してはどうでしょうか。
独学・通信共にメリット・デメリットがあるので個人に合わせたスタイルで勉強し行政書士を目指していきましょう。
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