普段インターネットで検索している人は当然に知ってるウィキペディア。
芸能人のページから歴史、動植物までありとあらゆることが調べられます。
私は行政書士試験の判例問題の事案の整理としてウィキペディアを使ってました。
今回はウィキペディアで勉強していたときの話をまとめていきたいと思います。
あくまでも個人の方が編集・作成されているので信ぴょう性については確実とはいえないので注意しましょう。
ウィキペディアとは
まず、ウィキペディアとは
「専門家によるオンライン百科事典プロジェクトNupedia(ヌーペディア)を前身として、2001年1月、ラリー・サンガー(英: Larry Sanger)とジミー・ウェールズ(英: Jimmy Donal “Jimbo” Wales)により英語でプロジェクトが開始された。ウェブサイトには広告は一切掲載せず、資金的には個人や団体などからの寄付により運営している。記事の自由な複製・改変を認める「GFDL」というコピーレフトなライセンスとインターネットを通じ自由に文章の編集が行えるウィキシステムを採用し、誰もが新規記事の執筆や既存の記事の編集を行えるようになっている。」
誰でも新規の記事の作成・編集ができるインターネット上の百科事典だと思ってください。
日本語の記事だけでも1,168,835ページ。ありとあらゆることがまとめられています。
もちろん行政書士の試験問題が記事になっているわけではありませんが、ウィキペディアには憲法の論点となる判例のほとんどが載っています。
ウィキペディアを使って判例検索
それではウィキペディアの使い方を見ていきましょう。
分かりやすいように、問題集の一例をあげます。
憲法22条の外国に移住する自由についての問題です。
問題 次の記述は、最高裁判所の判例に照らし妥当といえるか。
外国旅行の自由は、公共の福祉のためになされる合理的な制限に服する。
⇒解答 ○
「憲法22条2項の『外国に移住する自由』には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。」(帆足計事件:最大判昭和33年9月10日)(平成3年度)
憲法によって保護されている『外国へ一時旅行する自由』と、旅券法によって定められている「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」という制約との衝突が論点です。
なかなか具体的なことイメージしにくいですよね。テキストを見るともう少し深く載っているのですが、理解には程遠かった記憶があります。
ウィキペディアで検索してみると
「帆足計事件(ほあしけいじけん)とは、国際会議に出席する目的で、日本国旅券の発給を申請した原告が、外務大臣(吉田茂)から申請を拒否されて、そのために国際会議に出席できなかったことに対しての損害賠償を求めた事件。」
「「海外渡航の自由」といっても、無制限に許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきであり、旅券法による制限も、合理的な制限の範囲内である。
当時は、冷戦という国際情勢であったため、資本主義国である日本から社会主義国の中心国であるソ連へ渡航するということは、「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」として旅券の発給を拒否した外務大臣の処分には合理性がある。」
結構わかりやすく書いていませんか。
問題と解答には書いていなかった「冷戦時代のソ連への渡航」や「その時の外務大臣が吉田茂」イメージがわきやすいですね。
憲法の問題は個別具体的な記述がないのでイメージをつかんだ上で、判例と要旨、結論の三点を覚えていきます。
ウィキペディアでは要旨の部分のイメージの補強を行うことができます。
なぜウィキペディアなのか
判例を見るサイトはウィキペディアをおススメします。
上記に合った信ぴょう性に疑いがありますが、第一に「多くの事件を取り扱ってる」「普段から使用しているので検索しやすい」「難しい単語には説明を書いていてくれている」など利点が多数。
多くの事件を取り扱っている
憲法を中心に多くの事件が記載されています。
行政書士にでてくる判例のほとんどが最高裁判所判決で、憲法判断がなかなか覆る性質ではないことが原因かと思います。
読んだ記憶があるのか下記程度。
成田新法事件
帆足計事件
審判権の限界(板まんだら事件)
マクリーン事件
三菱樹脂事件
南九州税理士会政治献金事件
・普段から使用しているので検索しやすい
ウィキペディアを普段から利用している人は意識的に検索しやすく、使いやすいです。
・難しい単語には説明を書いていくれている
ウィキペディアは一般の人が書いた百科事典、法律や裁判の専門家ではありません。
記事を編集してくれる人は新聞や判例を非常に読み込んで、理解した上でわかりやすく掲載してくれてます。
法律に詳しくない人でも読めるよう、「難しい単語は使われていない」か「難しい事柄には説明が付いていること」がほとんど。
テキストの補強とするだけならば非常にその当時の状況が分かりやすくなるはずです。
個人的に読んで勉強になった事件
一番記憶に残っている事件が「成田新法事件」です。
試験に出てくる論点をまとめると以下。
争点
新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法(以下「成田新法」)3条1項1号、2号は憲法31条に違反するのか、違反しないのか。
結論
成田新法3条は憲法31条に違反しない。
行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分の内容を総合的に判断し常に必ずそのような機会を与えることを必要とするものではないと解するのが相当。
理由
憲法三一条の定める法定手続の保障は、直接には刑事手続に関するものであるが、行政手続については、それが刑事手続ではないとの理由のみで、そのすべてが当然に同条による保障の枠外にあると判断することは相当ではない。
一応、結論と理由を押さえれば問題を解答することができます。
事件の概要(ウィキペディアから引用)
1978年(昭和53年)、新東京国際空港(現成田国際空港)の開港にあたり、当初の開港予定日直前に、過激派集団が新空港内に火炎車を突入させ、管制塔内に乱入した。
これにより空港の開港は延期(成田空港管制塔占拠事件)。
そこで、議員提案によりこのような事態に対処するため、新空港等における暴力主義的破壊活動を防止するため、空港周辺の工作物の使用禁止や封鎖及び除去の措置を定めた「新東京国際空港の安全確保に関する緊急措置法」(現在の名称は「成田国際空港の安全確保に関する緊急措置法」)が同年5月13日公布され、即日施行された。
そして空港の隣に火炎車で突っ込んできた過激派組織の基地として「横堀要塞」が建築されました。
空港突入時
いまでは考えられないです。
空港の隣にこんな建物があったら利用するのをためらいますね。
そして、翌年の1979年2月には、三里塚芝山連合空港反対同盟所有の通称「横堀要塞」に対して、成田新法3条1項1号に基づく工作物使用禁止命令が1979年(昭和54年)以降毎年更新され出されたが、その使用禁止命令の取消と損害賠償を求めた事件である。第1審、第2審とも、使用禁止命令取消については、1年ごとの更新のため、期限が過ぎたため訴えの利益がなくなったとして訴えを却下し、国家賠償請求についても棄却した。
この過激派組織が「憲法31条に違反している」、要塞の使用禁止の取消と損害賠償について訴えを提起した。
どう感じるかは人それぞれですが、個人的には、周辺の安全等を考えると要塞が使用されない治安が良いと感じます。
まとめ
行政書士試験に出てくるのは、争点、結論、そして理由です。
しかし、過去問やテキストではイメージが付きにくい、覚えにくいところが多々出てきていると思います。
一旦他の資料を見てみると時代背景や人物像、雰囲気を感じ理解の助けになります。
合格はすぐそこに。無料なので使えるものは使っていきましょう!
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