令和2年5月11日からテレビ電話による定款認証が非常に簡単になりました。
今までは、必ず会社を設立する都道府県の公証役場に足を運んで公証人の面前で認証を受けなければなりませんでした。
実際業務をしてみるとわかりますが、これがなかなか大変な仕事。
隣の都道府県くらいまでなら何とかなりますが、関東地方や中国地方になると移動だけで1日かかってしまいます。
その点、テレビ電話は、郵送対応になるので少し日数はかかりますが、移動費などを考えると格段に費用が抑えられ時間も有効に使うことができます。
先日関東地方での認証があったのでさっそく利用してみました。
日本公証人連合会(参考)
テレビ電話による定款認証の問い合わせ
まず、公証人役場のホームページを見てテレビ電話による定款認証ができるところを探しました。
公証役場によっては更新があまりされてなく、テレビ電話について書いていないところもあります。
その都道府県で初めて定款認証する場合は法務省;公証人一覧のページで一番公証人の人数の多いところを選ぶと良いと思います。
今回はその都道府県の一番大きな公証役場で対応してくれていました。
テレビ電話での定款認証は次の順序
① 定款の原案などを公証役場で確認
② 確認が終わった定款、委任状、印鑑証明書と返送用レターパックを入れて公証役場に送付
③ 認証日の予約をとる
④ 公証人から送られてくるURLにアクセスし認証を受ける
⑤ 公証役場から定款、実質的支配者の証明書、領収書などが郵送される
基本的な流れはこんな感じです。
定款の原案などを公証役場に送る
従来と同様に、公証役場に電話して定款案などの確認をしてもらいます。
公証人によってはFAXで送ってくれだったり、メールで送ってほしいだったりとまちまちです。
私はメールで送る方が楽なので、事前にホームページにメールアドレスがあるかどうか確認しています。
送るもの
1 定款案
2 実質的支配者の申告書
3 印鑑登録証明書
4 発起人の身分証
5 委任状
6 行政書士票及び身分証
発起人の身分証は実質的支配者の申告書に綴られます。
現在のところ、「実質的支配者の申告書に添付する写真付きの身分証明書は印鑑登録証明書で代用することができる」と、なっていますのでどうしても発起人が提出したくない場合は公証人と相談が必要です。
6 行政書士票と私の身分証明書はテレビ電話の際に画像として保存されるので必要ないのですが、最初に送っています。
公証人から修正の連絡を受ける
定款案を提出すると大体半日~1日ほどで定款の修正の連絡が入ります。
公証人によっては、赤文字で修正を追記したものを送っていただいたり、メール、電話と様々です。
修正が終われば認証日の予約をします。
基本的に公証人は公証役場で仕事をしていますが、出張で席を外していることもあります。
事前にテレビ電話での認証の予約を取りましょう。
※認証は定款などが公証役場に届いたのちになるので、2~3日ほど余裕をもって予約しましょう。
定款及び委任状を郵送する
定款の確認と修正が終われば、委任状と定款に発起人の実印を押印してもらい、公証役場へ郵送します。
今回は、公証役場からレターパックプラスとの指定がありました。
その中に、定款、印鑑登録証明書、同一情報の提供の申請書、委任状、返信用レターパックを詰めて郵送します。
※印鑑登録証明書の原本還付をする場合は、コピーしたものを同封します。
申請用総合ソフトから定款を送信する
認証日までに申請用総合ソフトから定款を送信する必要があります。
申請用総合ソフトは登記・供託オンライン申請システムでダウンロードできます。
また、PDFの署名プラグインソフトが同ページにあるので両方入手しておきましょう。
公証人からメールでテレビ電話用URLと振込先の送信
認証日の日付が決まると公証人からテレビ電話用URLと振込先の口座番号が送られてきます。
口座番号は銀行や郵便局、ネット銀行から直接公証人の口座に振り込みます。
ネットバンキングを使用していない公証人もいるようなので、早めに振り込んで記帳してもらう方がよいと思います。
テレビ電話用URLはとても簡単です。メールに書いているURLをクロームで開けるだけです。
クロームはグーグルが出しているネットを見れる「インターネットエクスプローラー」やアイフォンでいう「Safari」みたいなものです。
事前にテスト
今回、私も公証役場も初めてテレビ電話をすることになったので、認証日前日に事務員さんとテストで通信してみました。
本当にシンプルで簡単です。URLをクリックすると「公証人を呼び出し中」になり、向こうで通話ボタンを押すと接続するそうです。
※パソコンにマイクがついていないことが多いので、マイク付きのイヤホンかヘッドホンを接続しないとこちらの声が向こうに届きません。
1000円ほどの安いイヤホンでも十分に聞こえますが、ヘッドホンタイプの方が周りの音を気にせず通話ができおすすめです。
イヤホンタイプだと、マイクまでが遠くて聞き取りづらかったり、片手でマイクを口元に近づける必要があります。
テレビ認証の場合、行政書士票や身分証明書をカメラに近づけたりするので、完全に手ぶらで使えるヘッドホンタイプがおすすめです。
リモートワーク用に安価に買えるヘッドホンが増えてきた今が買い時です。
認証日
予約した時間にテレビ認証用URLをクリックすると公証人が待っていてくれていました。
私の名前や発起人から定款の依頼を受けていること等を口頭で確認されたのち、行政書士票及び身分証を呈示します。
公証人の方で画面を保存されるので指示に従いましょう。
時間はだいたい10分弱程度、公証役場で待つよりも非常に早く終わりました。
認証後の手続き
認証後は、公証人役場から定款、実質的支配者の申告書、印鑑登録証明書、領収書が送られてきました。
また、CDに焼いてもらう定款は申請用総合ソフトからダウンロードすることができます。
画像の一番右側の「公文書」からダウンロードしたり、CDに焼いたりできます。
今回は会社で保管してもらうのでCDに焼いて社長さんへ定款と共に郵送しました。
まとめ
遠隔地での定款認証が非常に楽になりました。
かかった日数は、最初の電話をしてから土日挟んで6日間。通常と比べて2日ほど多くかかったくらいです。
それでも、わざわざ新幹線に乗って数時間かけていく必要もなくなり、手間と費用が格段に減ります。
今回の場合、新幹線代大阪~東京+東京から移動で35,000円ほど安く定款認証ができました。
もちろん急いで会社を設立するときは公証役場まで足を運ぶ方がすぐにできますが、いろんな方法を試してみるのもよいのではないでしょうか。
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