行政書士試験で一番の鬼門がこの一般知識という人も多いのではないでしょうか。
政治・経済・社会・情報通信・個人情報保護・文章理解で構成され、出題の範囲がとにかく広い。
正直すべての項目に対策を立てることができない科目です。
そして、この一般知識が鬼門な理由は足きりがある点。最低6問を正解しないと有無を言わせず不合格となります。
ここでは、最低6問を確実に取れるよう、本試験を意識した一般知識の勉強方法をまとめていきたいと思います。
他の科目の勉強方法はこちら
一般知識の足切り
先ほど書きましたが一般知識は足きりがあります。この足切りを越えなければ法令問題は採点されません。
今までの努力が水の泡になります。
全14問中6問以上を正解できれば基準点越え、ひと安心。多くの受験生はこの6問を目指して勉強をすることになります。
行政書士試験の一番の勉強どころは法令科目ですが、一般知識対策をしっかりしていないと足切りで涙を見ることになります。
一般知識は全体的に点数が伸びないところですが、対策を取りやすい科目があります。
それが、情報通信と文章理解です。この二つを押さえることによって確実に点数を稼ぎ、足切り点を越えることが望ましいです。
一般知識の全体像
一般知識は全部で14問、内訳は政治・経済・社会が7問前後、情報通信・個人情報保護が4問前後、文章理解が3問前後です。
この中でも政治・経済・社会の範囲が広すぎてすべてを網羅することができません。
普段からニュースや新聞からキーワードを拾っておくことが対策になります。
ただし、時事ネタだけでなく、世界の選挙制度や経済の制度、労働白書、出生率などを使った過去との比較も出題されます。また、世界の条約や、世界機関(WHO等)などの名称と内容なども問われます。
予備校などでは、過去問や公務員試験の社会学のテキストを読むといいとされています。
ですが、過去問等をみて勉強していても実際の試験には最新のデータに基づいて出題されることが多いです。
例えば、年間婚姻数でみると。2018年までは長年減少をしていましたが、2019年には7年ぶりに増加に転じました。
様々な要因があると思いますが、一番は令和婚姻。平成最後の日(4月30日)や令和初日(5月1日)に届け出を出す人が多かったようです。
この場合、2018年を切り取ると6年連続婚姻率は低下している。2019年で切る取ると、7年ぶりに増加に転じた。
同じデータを見ても切り取り方で問題が変わってくるのです。
婚姻数は2018年までは減少、2019年は令和婚で増加とあれば覚えやすいですが、そのほかの特殊出生率や派遣の人数、有給休暇の消化量等それぞれ年代ごとに覚えていくことは無理があります。
個人的におすすめな勉強法
個人的におすすめの勉強法は新聞と、中学か高校の公民のテキストです。
公民のテキストには、環境問題や社会権、世界の経済や選挙にこれまでの歴史から今後の課題についてが載っています。
また、新聞のように難しい言葉や初めて聞くような単語は非常に少ないか、あっても説明文が付いていることがほとんどです。また、写真やグラフも豊富なものが多いので記憶にも残りやすくなっています。
最新データを追いかけるより、既に事実として確定している日本や世界の情勢や環境を大きく理解することができます。そのままテストに出ることはないかもしれませんが、聞いたことのある単語、理解が深まったことなど試験対策にかなり有利な手段になります。
確実に得点を取る科目(情報通信・文章理解)
試験対策していくうえで必要な科目が情報通信と文章理解です。
この二つの科目で5~6問を正解を目指してほしい。そこまで取れれば政治経済社会はおよそ8問のうち1~2問正解すれば足切りを越えることができます。
情報通信について
情報通信の科目は個人情報保護法、行政機関個人情報保護法やプロバイダ責任制限法などの法律科目とITやネット等の用語の意味を問われる問題が中心です。
法律科目は解釈や判例などはほとんど出題されず、基本的に条文を正しく理解しているかどうか問われる問題が中心です。
基本的に過去問を中心に勉強し、足らないところをテキストで学べば対策は十分です。
民法や行政法のように事細かに覚えていく必要はなく全体像をしっかり理解していくことが必要です。
数年に一度、個人情報保護法と行政機関個人情報保護法の対比問題が出題されます。
この2つに関しては似ているところ違うところをしっかり意識して過去問に取り組んでください。
用語問題
用語の意味は覚えていくしかありません。辛いところであります。
できるだけ漠然と広く覚えていくことがコツです。
昨年の問題文(SNSについて)
加入している会員同士での情報交換により、社会的なつながりを維持・促進する
ことを可能とするインターネット上のサービス
↑このように覚える必要はまったくありません。簡単に用語の説明ができれば○×はつけられます。
例えば昨年のSNSだと「複数の人とチャットをしたり写真をアップロードして共有するものだ」、とかIOTなら「家の外から家のエアコンを操作したり、カメラを操作できるシステムのこと」位をなんとなく覚えておけば選択肢を絞ることができます。
文章理解
文章理解もできれば2~3問正解しておきたいところです。
文章読むのが苦手!という人もいると思いますが、実はそんなに難しい出題はされていません。
勉強方法は何度も何度も同じ問題を解くのではなく、解答するためのちょっとしたコツを覚えて何度が解いてみてください。すると、どんどん選択肢が絞れていくようになります。
著作権の関係で問題文を載せることはできませんが簡単に要点だけ説明します。
要旨問題
いわゆる筆者が何を言いたいのか次の中から選びましょう!という出題形式です。
実際に例文を見てみましょう。
① 私は宇宙人はいないと思っている。もちろん宇宙に生命体が存在していないなんて浪漫のない話をするつもりではない。読者の中には「そんなことはない、実際にUFOの目撃例や宇宙人にさらわれた人もいるじゃないか!」という人もいるだろう。すべての証言が嘘とは言わないが、真偽の怪しいものがあることも知っておいてほしい。
② 例えば、UFOを考えてほしい。数年に一度戦闘機のパイロットや目撃例が報告されているが、常識では考えられないスピードで飛行していたり、プロペラがないのに空中に停止できていることがある。今の科学からすればあり得ないことだ。地球に来るほどの科学力を持った宇宙人なら当たり前だといえばそれまでだが、わざわざ地球に来る意味は何なのだろうか。もっと接触を図ってきてもいいものなんじゃないだろうか。
③ もう一つ疑問に思っていることがある。宇宙人という名前だ。目撃例にしばしばあるグレイ型、いわゆる全身が銀色で目が大きくて頭が大きい宇宙人だ。その他にもいろいろな宇宙人がいるが、そのほとんどが人型である。
人類が未だ到達できていない科学や未知の力を持っているなら「人型」ではない可能性も十分にありえるはずだ。人々は昔から高度な存在、例えば神話にでてくる「神様」も人型をしている。ほんとうの「宇宙人」は液体かもしれないし、人間には見えないのかもしれない。
④ つまり、私は宇宙人というネーミングが嫌いなのだ。なぜ人型をしていると決めつけている。
目撃例も人型ばかりだ。宇宙に地球以外の生命体があるかもしれないが、グレイ型の宇宙人がいる可能性は低いだろう。
まぁ、中身は気にしないでください。
上記の文章で筆者が一番言いたいことは「宇宙人というネーミングが嫌い」というところ。余計な文章がついていない分わかりやすかったんではないでしょうか。
そこに至るまでの考え方を見ていきます。
各段落に説明文を付けるとこんな感じです。
① 実はここも言いたいこと。ただし、抽象的だったり表現が難しかったりでわかりにくい
② ①のわかりにくい部分を具体的に表現している
③ ②に続いてさらに深堀をしていく。だいたい趣旨のイメージは伝えた
④ 言いたいことをもう一度言います
文章構成はこんな感じです。本試験の問題も文章量は多いですが、似たような構成になっています。
注目すべき点は②の具体例と④の結論です。
ポイント① 具体例を探す
実は筆者の言いたいことを簡単で分かりやすい表現にしたものが具体例です。
ここを読めば、何を言いたいのか、結論に向かってどんな表現をしているのかがわかります。
注目する単語は「具体的に言うと」「例えば」「一般的に言えば」等で始まる段落です。
ここで注意しなければならないのは、具体例は文章の趣旨にはならないという点です(極々一部例外)。
本当に言いたいことではなく、読む人にわかりやすいように例示してくれているだけです。
実は、読み流しても大丈夫なところです。
ポイント② 結論を探す
文章の④段落目にある結論を探す。ここが一番筆者が伝えたいことです。これが解答に直結するところです。
注目する単語は「つまり○○である」「私が思うに○○だと思う」「これこそ○○である」等です。
今までの文章をまとめる一文であったり、「私が」という一言が付いていたり強調する文章になっています。
例題でいうと「つまり、私は宇宙人というネーミングが嫌いだ」のところです。
その他にも文章の順序入れ替え問題や空欄補助問題も解き方があります。
解法を知ったうえで何度か練習して制度を上げると時間のかかる文章理解が早く解けるようになり、他の問題に使える時間が増えます。
私は、最初の頭のはっきりしているうちに文章理解を解くことをお勧めしています。
まとめ
今回は行政書士試験の一般知識の勉強法をまとめました。
政治経済社会は新聞と公民のテキストで、法令の半分くらいの力で勉強。
情報処理は広い範囲をまんべんなく復習。
文章理解は解法を覚えて数回問題を解いてみる。
ここでの目標は足切り点を越えること。あくまでも、勉強の中心は行政法と民法、憲法を中心に頑張っていきましょう。
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