憲法は行政書士試験の合格において非常に重要な科目です。
民法と行政法がある程度学習が進んだら、空き時間に勉強、直前期で一気に仕上げていかなくてはいけません。
そのためには、憲法の位置づけ、覚えるコツを知っているといないとでは、記憶に残り方が断然違います。
今回は、私なりに憲法の学習方法をまとめてみました。
是非、取り入れられるところはまねしてください。
その他の科目の勉強法について
試験上の基礎法学・憲法
第1問から第7問、多肢選択が1問が基礎法学・憲法の科目です。
合計で36点の配分があります。
重要度は行政法・民法に次いで3番目。得点源にはならないけど、落としてもダメな科目です。
合格するためには適度な距離感で勉強が必要な科目です。
択一で4~5問取れればいい点数です。
憲法は国民を守るもの:他の法律は国民を制限するもの
見た感じ憲法ってとっつきにくい感があると思いますが、憲法の位置づけを押さえれば理解がスムーズです。
憲法の位置づけは「国民を法律から守るもの」
他の法律とは一線を画します。行政や法律が国民の権利や財産を侵害してきたらどうでしょう。法律で決まっているからあきらめるしかない。。。そんなことはありません、憲法によって守られた権利を主張しましょう。
このように行政や法律に対して対抗できる、国民を守るために法律が憲法です。
分野によって考え方の切り替えを
憲法は大きく分けて人権と統治の二つの分野に分かれます。
10条~40条 人権
41条~95条 統治
試験で出題されるのはこの人権と統治からがほとんどです。
人権の勉強のポイント
まず、憲法の条文だけを見てください。
憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
なんか抽象的でフワッとしていて、言っている意味はわかるけど、何を規定しているかよくわからないですよね。
でも、この13条は試験でもよく出てくるプライバシー権の元になった条文。
試験問題はプライバシー権について問われるので13条自体はそこまで覚える必要がありません。
人権の勉強で重要なのは判例です。人権の条文は大きな枠でいろんな解釈ができるようになっています。
例えば、国が自由に法律を定めることができるとします。国は自分を守るために行政や国会に文句を言う人を片っ端から逮捕できる法律を作ってしまいかねません。実際に国会がそのような法律を作成・成立させることは理論的に可能です。政府が自由に逮捕できるようになれば、国民は自由に生活することができません。
このように、国会が暴走してしまったら国民の立場・人権が侵害されてしまいます。憲法は、国民の人権を守るために法律を縛る機能があります。それが、これから勉強する憲法の中の人権です。
憲法の役割
国民の人権を守るために法律や行政を監視する役割があります。
試験での出題のされ方
人権の多くの問題は、国会が作った法律が憲法に違反しているか、行政が行った規制が憲法に違反しているかを問われます。行政の問題のほうが多いです。
下記が基本的な出題方法です。覚える箇所は事件概要、結論、理由です。
例題
次の記述は、最高裁判所の判例に照らし妥当といえるか。
外国旅行の自由は、公共の福祉のためになされる合理的な制限に服する。
⇒解答 ○
「憲法22条2項の『外国に移住する自由』には外国へ一時旅行する自由をも含むものと解すべきであるが、外国旅行の自由といえども無制限のままに許されるものではなく、公共の福祉のために合理的な制限に服するものと解すべきである。」(帆足計事件:最大判昭和33年9月10日)(平成3年度)
憲法によって保護されている『外国へ一時旅行する自由』と、旅券法によって定められている「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」という制約との衝突が論点です。これには背景があって、帆足計がソ連にわたるビザの発給を吉田茂(外務大臣)に申請したが、当時はソ連とアメリカが冷戦の真っただ中であった。そこで、行政は資本主義国から社会主義国への渡航は「日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞がある」行為として、ビザを発給しなかった行政行為について帆足計の訴えを認めませんでした。
太文字の部分が、事件、理由、結論です。試験問題として理由の部分を変えて出題するひっかけ問題が多数出題されます。事件の内容と結論だけみて瞬間的に○×を付けるのではなく、理由の部分にも着目して覚えていく必要があります。
統治の勉強のポイント
統治の問題は条文ベースで出題されることがほとんどです。
条文をすべて覚えるだけでかなりの問題が解けるようにできています。
ただ行政書士試験には落とし穴があります。地方自治法と非常に似ています。
例えば議会の出席数。
憲法
第56条 両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。
地方自治法
第113条 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。
このような似ているけど人数が違う、日数が違う問題が山ほどあります。
もちろん、テストで憲法は憲法、地方自治法は行政法として出題されますが、正直取り違えが多々起きる科目です。
それぞれ、比較しながら違う項目と同じ項目を意識しながら勉強しましょう。
また、内閣総理大臣と都道府県や市町村長も似ていますが、都道府県や市町村長のほうが権利が守られていることが多いです。これは、内閣総理大臣は国民の直選挙で選ばれていない、各首長は直接選挙で選ばれている点が考慮されていると思っています。
深入りしすぎないことがコツ
憲法のコツは深入りしないことです。もちろん、合格するためには必須の科目ですが、民法や行政法の勉強が追い付いていない場合は、民法と行政法が優先です。
同じ分量の勉強で点数の伸びが全然違います。ある程度、学習が進んで余裕が出てきたら合間合間に勉強する方法が良いでしょう。試験前2~3か月が肝です。しっかり最後の詰をしていきましょう。
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