行政書士でも登記申請ができる遺言執行者とは

行政書士ができる不動産登記 実務その他コラム
行政書士ができる不動産登記

※※2020年1月29日追記 現在

民法の改正により、相続させる旨が遺言に書かれている場合、遺言執行者は遺贈の登記に加えて相続登記もすることができるようになりました。

その後の記事は後日改めてブログにしたいと思います。

 

 

行政書士に一つも登記業務はできないと思っていませんか?

実は一つだけできる不動産登記があるのです。

それは、遺言執行者による不動産登記です。

今回は、この行政書士でもできる登記についてみていきましょう。

遺言を作成する際に遺言執行者になる条項を入れておくと相続人や遺贈を受けた人のサポートをすることができます。

登記業務は司法書士の専売特許

このページを読んでいるあなたはご存知の通り登記業務は司法書士の専門です。

行政書士が不動産や商業登記を行うと罰則があり、最悪行政書士の資格をはく奪されてしまいます。

法律を扱う仕事をしている行政書士が法律を冒すなんてもってもほかです。

それでも、遺言執行者になれば行政書士も遺贈の不動産登記を行うことができます。

行政書士ができる不動産登記

遺言執行者という立場

遺言の中で自分の残した遺言をちゃんと遂行してくれる遺言執行者をあらかじめ決めておくことができます。

相続の大部分の事務処理をお願いできる存在が遺言執行者です。

遺言執行者の役割は様々で、預貯金の引き出しや、有価証券の名義替え、遺贈の登記などを行うことができます。

よくわからない銀行や証券取引所との連絡や遺贈については登記全般をお願いできる頼もしい存在です。

遺言によって行政書士が遺言執行者になるケースはよくあります。

行政書士は行政書士という立場ではなく遺言執行者として登記申請を行うことができます。

登記は遺贈に限定される

遺言執行者ができる登記は遺贈に限られます。

相続登記は原則通り司法書士の専属業務になり、本人申請もしくは司法書士の先生が申請を行わなくてはなりません。

相続登記が必要な場合は司法書士の先生にお願いしましょう。

 

遺贈は普通の相続と違うの?

遺言執行者が行える登記は遺贈とお話ししました。

遺贈と登記の差を見ていきましょう。

法定相続人に財産を遺す行為が相続、法定相続人以外に財産を譲り渡す行為が遺贈になります。

簡単に言うと遺言で第三者に贈与を行うことを遺贈といいます。

※相続人に遺贈することができますが、収集する資料が増えるデメリットがあるため採用されません。

なんで相続登記は行えないの?

法定相続人による相続は登記をせずとも被相続人の死亡により所有権が移動しているとされているからです。

遺言執行者が間に挟まる余地がなく、相続人の登記のみ有効になります。

 

こんな時に遺言執行者が必要

遺言を残す際に相続人のみで揉めない場合は遺言執行者を定めないことがよくあります。

遺言の内容に相続人のうち一人でも不服がありそうなとき、遺贈があるとき、相続人が高齢で手続きが大変な時などに遺言執行者を定めるとよいでしょう。

相続人のうち一人でも不服があっても、遺言執行者は単独で遺言通りに執行します。

このとき、法定相続人の遺留分を考慮する必要もありますが、請求がなければ遺言通りに財産を分けることになります。

相続人が高齢の場合、被相続人の戸籍や不動産の資料を集めたり、預貯金の引き出しを行ったりと結構大変です。

そんなときは、遺言執行者を定めることによってほとんどの業務をすることができます。

このような場合は、行政書士が遺言を作成する際に、遺言執行者になる旨を定めることを勧めます。

このとき遺留分にも注意しておきましょう。

遺贈は相続人の同意や印鑑がなくできる

遺贈で不動産の登記をするときは、遺贈を受けた人と遺言執行者の二人で登記をすることができます。

相続人の同意や印鑑は必要ありません。

これは、遺贈に反対する相続人がいた場合、故人の遺志を尊重できなくなるので、相続人の了解を得ずに登記ができるようになっています。

もちろん、預貯金や有価証券なども遺贈することができます。

遺言執行者は預貯金の払い出しもできる

遺言執行者は遺言の内容にしたがい預貯金の解約をすることができます。

もし、遺言執行者が定められていない場合は、相続人すべての印鑑証明書や遺産分割協議書などを用意する必要があり、相続人の負担が増えます。

 

まとめ

行政書士は個人で遺言執行者を受任することにより遺贈の不動産登記ができます。

今後、高齢化社会の影響で遺言を書く機会が増えていくと予想されます。

ぜひ、行政書士は遺言執行者になって相続人や遺贈を受けた人のサポートをしていきましょう。

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